お問合せフォームに届いた、懐かしいお名前。
一年前、本気で走り抜けてbesを卒業された元生徒さんからの連絡でした。
「合格しました。ごあいさつに伺いたいのですが、いつならお時間いただけますか?」
その文字を見た瞬間、この生徒さんと過ごした日々が鮮明に蘇りました。
歩まれた道は、決して平坦なものではありませんでした。
十分な能力を持ちながらも、どこか歯車がうまく噛み合わず、結果がなかなか付いてこないもどかしさ。
しかし、私は確信していました。
「能力に疑いはない。今はただ、歯車が噛み合っていないだけだ」
そう何度か直接お伝えしたこともあります。
この生徒さんは最後まで私を信じ、ブレずに、真っ直ぐについてきてくれました。
ご卒業時、保護者様と一緒に挨拶に来てくださった時の表情も、今でも忘れられません。
「一年後、合格したら必ず知らせてね」
そう約束を交わしましたが、受験は残酷なものです。
期待しすぎるのはご本人へのプレッシャーになる。
私は、過度に期待しすぎないように、ただ静かにその時を待っていました。
そして一年。
この生徒さんは、関西で誰もが憧れる難関薬学部に見事に合格し、その報告を携えて、再び保護者様と共に教室の扉を開けてくれました。
再会して確信したことが、二つあります。
一つは、「志の強さ」です。
「なぜ、薬学部なのか」。自問自答を繰り返す中で磨き上げられた強い決意は、偏差値や流行に流されない、揺るぎない「思いの結晶」となっていました。それが、孤独な浪人生活を支える最強のモチベーションだったのです。
もう一つは、「絞り込むことの勇気」です。
予備校では、夏期講習や直前講習で多くの講座を勧められたそうです。しかし、保護者様はそれらを全て却下されました。「今は、手を広げる時ではない」と。
この生徒さんは、夏は一学期のテキストを、冬は二学期のテキストを、何度も、何度も、ボロボロになるまで繰り返したそうです。
最後の模試まで、決して芳しい判定が出ていたわけではありません。
それでも合格を勝ち取れたのは、この「徹底した基礎の定着」があったからだ、とご本人が静かに語ってくれました。
この一年、この生徒さんはbesには通っていません。
しかし、こう言ってくださいました。
「besで基礎をしっかり教えていただいたおかげです。予備校の授業でも、besで学んだことが次々と出てきて、気がついたら英文が読めるようになっていました」
現役の時は、学校の忙しさに翻弄され、じっくり取り組む余裕がなかったそうです。
卒業して初めて、besで学んだ「武器」を、ご自身のものとして研ぎ澄ますことができたのでしょう。
ちょうどオリンピックで選手たちが輝いている時期でした。
「モーグルもスピードスケートも、種目は違えど立派なメダル。あなたの掴んだ合格は、素晴らしい金メダルだ」とお伝えすると、本当に嬉しそうに笑ってくださいました。
「歯車が噛み合っていないだけ」という私の予感は、間違っていませんでした。
教育者として、これほど報われる瞬間はありません。
一年という歳月を越えた、静かで温かな再会。
親子お揃いでの清々しい笑顔に触れ、私の方が、大きな力をいただいたような気がします。
こうした温かな春の記憶を胸に、
大学受験英語besでは、今日も新たな生徒さんとの面談が進んでいます。
結果を出して羽ばたいていく背中。
希望を胸に、新たな門を叩く背中。
春は、そういう季節です。